開館15周年記念特別展

茶の湯の心

~早稲田大学會津八一記念博物館所蔵「富岡重憲コレクション」から~

2013年10月26日(土)~12月13日(金)

日本の地熱開発事業の第一人者・故富岡重憲氏の茶心が集約された名碗と大徳寺派の墨跡

本年、開館15周年を迎えた齋田記念館では、これを記念し、実業家・富岡重憲(1896~1979)氏の茶道具をご紹介する特別展を開催します。

日本重化学工業株式会社の創業者・富岡重憲氏は、日本の地熱開発事業の先駆者として合金鉄工業の発展に尽力するかたわら、書道や茶道にも通じた文人でした。昭和20年代に伊万里の色絵鉢から美術品の蒐集を始めたといわれ、以来半生をかけたコレクションの数は約900件に上ります。それらは、東京・大森の富岡氏の居宅を改造した財団法人富岡美術館で20年以上公開されていましたが、同館が2003年に惜しまれつつ閉館し、現在は早稲田大学會津八一記念博物館に収められています。富岡コレクションの中核をなす鑑賞陶磁と白隠などの近世禅書画はつとに著名ですが、本展では、氏の茶心が集約された名碗と大徳寺派の墨跡を中心に展観します。

 富岡氏は、茶を喫するには「茶碗と茶筅があればよい」と言い、客人に合わせて茶碗を選んだそうです。その為、茶碗の数に比して他の道具の数は多くはありませんが、禅書画のうち大徳寺派の僧たちのものは、茶席を意識して求めたようです。遺品である禅語に関する書物には書き込みがなされ、禅の真髄に触れる手掛かりとしていたことが窺われます。床の間には、天祐紹杲の「移り変わる人の心の中にも、変わりようのない真実の自己がある」という意の一行書「心々無別心」を、よく掛けていたといいます。いわゆる数寄者とは異なる趣を放つ富岡氏の茶道具から、独自の茶に対する姿勢、気宇壮大(きうそうだい:物事に対する心がまえが大きく立派なこと)なもてなしの心をご感得頂けましたら幸いです。
休館日 土曜日、日曜日、祝日(但し、第4土曜日・10/26、11/23を除く)
開館時間  午前10時-午後1時、午後2時-午後4時30分(入館はそれぞれ閉館の30分前まで)
入館料 500円

珠光在印「達磨図」再発見、77年振りに公開!

また、この度の調査で、珠光在印「達磨図」が同コレクションに収められている事が判明しました。珠光の落款、印章のある絵画は他に三点が知られますが、本図は、昭和11(1936)年創元社刊『茶道全集』に東京・有尾佐治氏蔵として紹介されて以来、77年を経て公開されることになります。茶人珠光と画人珠光が同一人物であるかを検証する一助として、この機会に是非ご覧下さい。

主な展示品

白隠慧鶴筆「蛤蜊観音図」
江月宗玩筆一行書「禅子訝中眉垂」
禾目天目茶碗 建窯 南宋時代(12~13C)
堅手茶碗 銘白菊 益田鈍翁追銘善福寺 朝鮮時代(16C)
長次郎作黒楽茶碗 銘破れ窓 桃山~江戸初期(17C)
開館15周年記念特別展 「茶の湯の心」 フライヤー
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